はじめに──これから投資を始める人へ
この記事では、以下のような疑問や悩みを持つ方に向けて、実体験をもとにお話しします。
- なぜ投資を始めるのか?
- レバナスで資産が半分になっても、なぜやめなかったのか?
- 暴落中にどうやってメンタルを保ったのか?
- 自分で検証して納得するとはどういうことか?
投資をこれから始める人、あるいは不安を感じている人にとって、少しでもヒントや安心材料になればうれしいです。
僕が投資を始めた理由
2021年末のある日、YouTubeで偶然目にした「フェルミ漫画大学」の動画。そのタイトルは『【要約】33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由』というものでした。
当時の僕にとって「30代で1億円」という言葉はまるで夢物語のように感じましたが、「何をしたらそうなるんだろう?」という単純な興味から、思わず再生ボタンを押しました。
これが、僕にとって投資との出会いでした。
動画では、地道な節約や長期投資、資産形成の考え方などが語られていたと思います。最初はどこか他人事のように思っていたのですが、気がつけば関連動画を次々と見漁るようになっていました。
ちょうどその頃、仕事でも大きな転機がありました。転勤によって通勤時間が片道1時間半となり、仕事の内容や人間関係に対しても徐々にストレスを感じるようになっていたのです。
「このまま定年まで働き続けるのだろうか…?」
そんな疑問がふと心によぎりました。そして、まさにそのタイミングで「FIRE(経済的自立と早期リタイア)」という概念に出会い、心がざわつきました。

「これだ」と思ったのです。
お金と時間の自由を手に入れたい。その手段として投資を始めることを決意しました。
あの熱狂の中でレバナスに飛びついた
当時、SNSやYouTubeでは「レバナス(レバレッジNASDAQ100)」という言葉がバズワードのように飛び交っていました。過去の圧倒的なチャートの伸び、「これを握っていればFIREできる」といった楽観的な意見が多く見られました。
僕もその熱に、例にもれず当てられてしまった一人です。
もちろん「リスクは大きい」という注意喚起も目にしていました。しかし、正直なところ「大丈夫だろう」という気持ちの方が強かったと思います。長期で持ち続ければ報われる。少しくらい下がっても我慢すればいい。そんな根拠のない楽観が、当時の僕の中にはありました。
今振り返ると、あのときの僕は“投資”というよりも、“ギャンブル”に近い感覚でレバナスを買っていたのだと思います。
暴落と向き合う
投資を始めてすぐの頃は、上昇相場の恩恵もあり、資産は順調に増えていきました。
僕が本格的に投資を始めたのは2021年末。ちょうど、歴史的な金融緩和がピークを迎えたタイミングでした。
そしてその11月、既に出ていた「iFreeレバナス」に続いて、「楽天レバナス」が登場。SNSやYouTubeではレバナス民たちが歓喜し、「これを握っていればFIREできる!」みたいな空気が充満していました。
そんなムードに流されて、僕もレバナスに大金を投入・・・いや、“ジャンピングキャッチ”。見事な天井掴みをしてしまいました。
そして迎えた2022年。
市場は一転して下落トレンドへ。インフレ懸念、金利上昇、QT(量的引き締め)といったワードが飛び交い始め、株価はズルズルと下がっていきました。
一般的にみんながよく買うようなインデックス連動型商品と違って、僕が買っていたレバナスは為替ヘッジありのため、円安の恩恵を受けることもなく、他の商品よりも激しく下落。
後から振り返ってみると、最大で−60%というえげつないドローダウンに見舞われていたようです。
2021年末には2,000万円近くあった資産が、気づけば800万円台に。
売るに売れず、資産がズルズル減っていくという漠然とした不安。証券口座を開けば、嫌でも目に入る赤い数字。心のどこかで「これはまずいものに手を出したかもしれない」とよぎる事も。
──そんな時期を、僕は過ごしていました。
暴落の中でどう耐えたか?僕なりのメンタル戦略
■ YouTuberがくれた“心の支え”
それでも、僕はレバナスをホールドし続けました。
その理由のひとつは、当時よく観ていたYouTubeチャンネルの存在でした。
「S&P500最強伝説」さん、「風丸」さん、「投資塾ゆう」さん、「まむすん」さんといった、レバナスの長期投資を前提に冷静な視点を語るYouTuberの意見を何度も見返し、自分を納得させていました。
彼らの語る「長期目線の重要性」や「淡々と積み立てを続ける姿勢」は、当時の僕にとって大きな心の支えでした。
もちろん、今振り返れば、彼ら自身が本当に買っていたのかどうかは分かりません。中には再生数目的で発信している人もいるかもしれません。ですが、特定の誰かを盲信するのではなく、複数の意見を聞き、自分なりに考え、納得しながら受け止めていたことがポイントだったと思います。
YouTubeというメディアを通じて、投資や暴落への向き合い方を学べた経験そのものが、結果として僕にとっての“メンタルの防衛策”になっていたのです。
■ 「10年前に始めていれば…」への自分なりの答え
これは暴落を乗り越える話とはズレるかもしれませんが、「10年前に投資していれば今ごろは…」という言葉をよく耳にします。これは半分は正解だと思います。
もちろん、投資は早く始めるほど有利だからです。複利の効果を最大限に活かすには「時間」が何よりの武器。長期的に資産を育てるという点では、早ければ早いほど得なのは間違いありません。
ただし、もう半分はそう単純ではないとも感じます。というのも、「10年前の自分が今と同じように投資を続けられたか?」と問われると、正直ちょっと自信がないからです。
当時は、今ほどYouTubeやSNSなど、投資について気軽に学べる環境が整っていなかったし、収入も少なくて余裕がなかったです。そもそも、社会人としての勉強に精一杯で、投資の勉強までに時間やエネルギーを割けたかどうかも怪しいところです。
また、今の主力であるレバナスが広く知られるようになったのも、ここ数年のことです。10年前に投資を始めていても、その頃にレバナスにたどり着くことはなかったでしょう。仮に後から知っても、乗り換えはできないと思います。せいぜい積立設定を変えるくらいです。
つまり僕にとっての答えは、「環境が整っていた“今このタイミング”で始められたこと自体がベストだった」ということです。
確かに早く始めるに越したことはないけれど、それと同じくらいその人にとって始めやすい時代や環境で行動できることも重要だと、今は感じています。
■ 資産額を見ない工夫でメンタルを守る
投資に関する勉強のほか、自分なりにメンタルを保つための工夫もしていました。
たとえば、楽天証券ではTOPページに資産額が表示されますが、それを非表示にできるのです。これによって、資産額に左右されずに冷静に取引画面へと進むことができるようになりました。

資産額を毎日見て一喜一憂するのは、想像以上に精神をすり減らします。だからこそ、あえて“見ない”という選択をしたのです。この小さな工夫が、自分にとってはとても効果的でした。
■ 含み損を「チャンス」と捉えるマインドへ
マインドの切り替えも重要でした。
「含み損があるということは、いま買い増せば平均取得単価を下げられるチャンスだ」と、前向きに捉えるようにしました。
インデックス投資は基本的に右肩上がりだと言われています。レバナスもレバレッジが掛かっていますが、基本的には似たものだと考えています。通常時に積み立てるだけでは、常に高値づかみになってしまう可能性が高いです。
一方で、下落相場はそうそう頻繁に起こるものじゃない。だからこそ、下がったときに買える人が最終的には大きく差をつけられる──そんな考え方が徐々に腹落ちしていったんです。
僕の場合は、毎月の積立に加えて、「ピークからの下落の割合に応じて追加投資する」というルールを自分なりに決めて、安値を追えるように淡々と買い増しをしていました。
投資の世界では「落ちるナイフを掴むな」とよく言われます。でも僕は、それをあえて掴みにいきました。それも、下落が大きくなるほど投資額も増やすという逆張りスタイルで。それは短期投資ではナンセンスな行動かもしれませんが、長期投資においてはむしろ有効な戦略だと、今でも信じています。(もちろん、考え方は人それぞれあると思いますが)
含み損はつらいです。ですが、「今こそが買い時だ」と思えるようになると、不思議とメンタルは安定してくるものです。
■ 投資ばかり考えない。だから続けられる
ただし、投資のことばかり考えていると、気持ちが持たなくなってしまいます。
そこで意識的に「投資から頭を離す」ことも心がけていました。趣味に時間を使ったり、自分の人生にとって本当に大切なことに目を向けたりすることで、気持ちのバランスを取っていたのです。
投資は人生のすべてではありません。むしろ、人生を豊かにするための“手段”にすぎません。この軸を忘れずにいられたことが、僕にとって大きな支えだったのだと思います。
■ レバナスを信じた、大きな根拠
レバナスをホールドできた大きな理由がもうひとつあります。
それは、レバレッジをかけても問題ない「限界点(閾値)」を理論的に理解し、自分でも検証して納得できたからです。
レバレッジ商品には「逓減(ていげん)」というリスクがあります。これは、値動きが激しいと、結果的に元の指数(NASDAQ100やS&P500など)よりもパフォーマンスが悪化してしまう性質です。逆に、右肩上がりが続けば「逓増(ていぞう)」となり、指数以上のリターンを得ることも可能です。
NASDAQ100指数は過去のリターンが非常に高く、他の指数に比べて逓減の影響を打ち消しやすい特徴があります。この点に注目して計算していたのが、「S&P500最強伝説」さんや「まむすん」さんなどのYouTuberでした。
これらの動画では、「レバレッジには現実的な上限がある」という点が式とともにわかりやすく解説されていました。
僕はその内容を自分で確かめるため、NASDAQ100の過去データをエクセルに展開し、モンテカルロ法を用いてシミュレーションを行いました。
その結果、次のような結論が導かれたのです。乱数パターンにより多少異なりますが、おおよそ、
- 一括投資の場合、「レバ2倍程度」が上限
- 積立投資であれば、価格変動を分散できるため「3倍〜4倍」までが現実的な上限
これらの結果は、YouTuberたちが語っていた内容とほぼ一致しており、自分の中でも「数値的な裏付け」がとれた実感がありました。そしてこれは、他の指数ではなく、ナスダック100だからこそ成立する戦略であることも再確認できました。
こうした理論と検証によって、「なんとなく信じている」のではなく、「リスクは理解しているし、むしろチャンス」と、腹を括ってレバナスに投資しているという自信が持てたのです。
だからこそ、2022年の暴落でも恐怖に飲まれることなく、「むしろ今が買い時」と冷静に構えることができたのだと思います。
最後に
投資は「楽して儲かる」ものではありません。僕自身、レバナスに熱狂して資産が半分以下になったときに、それを痛感しました。(といっても評価額を見ていなかったのですが・・・)
ですが、長い目で見れば、続けることこそが最も大きなリターンを生み出します。
暴落が来ても感情的にならず、少し俯瞰して見つめる。自分なりの納得のいくやり方を見つける。それができれば、投資はとても心強い味方になってくれるはずです。
僕もまだまだ学びの途中です。だからこそ、この体験が誰かの役に立つことを願って、こうして残すことにしました。
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